ミニ四駆 スピードチェッカーを活用しよう!
ミニ四駆の速さを計測する「ミニ四駆 スピードチェッカー」について、解説します。 モーターの選別やコンディション管理に重宝します☆
目次
「1家に1台」な有用機器!
「ミニ四駆 スピードチェッカー」(以下、スピードチェッカー)は、ミニ四駆の計測器です。 ミニ四駆の最高速度(時速)と走行タイム(最大300m)の、2種類の計測が可能です。
スピードチェッカーは、1996年に発売されました。 公式大会の会場(受付のテーブル)に置いてあるので、1度ぐらい使ったことがあるのでは、ないでしょうか?
スピードチェッカーがあれば、コースを走らせなくても、モーターの選別などが可能です。 モーターの性能は、同じ種類でも違います。 また、ブレークインの方法によっても変わります(詳細は、次の記事を参照)。
> 「そのモーターは、もしかしたら、遅いモーターかもしれない」
> 「【検証】モーターのブレークイン」
> 「【検証】モーターのブレークイン(2)」
ほかにも、コースを走らせるだけでは気がつかないような違いを、知ることができます。 このサイトでは、スピードチェッカーを使って、パーツの効果を検証しています(詳細は、次の記事を参照)。
> 「【検証】ターミナル(電池金具)」
> 「【検証】ギヤシャフト・ベアリング(カウンターギヤの軸受け)」
スピードチェッカーは、ミニ四駆を速くするのに欠かすことができない、「1家に1台」な有用機器なのです。
スピードチェッカーの活用方法
スピードチェッカーの活用には、向き不向きがあります。
お勧めは、
「モーターの性能測定」
「電池の性能測定」
の2つです。
また、最高速度(時速)よりも、走行タイム(最大300m)による計測がお勧めです。 0.01秒単位で計測されるので、細かい違いを知ることができるからです(最高速度は、大まかな違いを知るのに有効)。
逆に、車輪の大きさ・ギヤ比の違いによる計測は、あまりお勧めできません。
大径タイヤ+超速ギヤ(ギヤ比[3.5:1])で計測すると、面白いようにスピードが出ます。
「やった、時速○○km出た! 速〜い♩」
という感じで、嬉しくなります(≧∇≦) ただ、山あり谷ありのミニ四駆のコースでは、その計測結果のとおり走るわけでは、ないんですね(+_+)
モーターや電池の性能を測定する場合、専用のワークマシンがあると便利です。
ワークマシンは、次のようにセッティングします(理由は後述)。
- 【ワークマシンのセッティング】
-
- タイヤ :小径(ワンウェイホイール以外)
- ギヤ比 :[4:1]、または、[4.2:1]
- ターミナル:ゴールドターミナル(「MSシャーシ ゴールドターミナル」など)
- 軸受け :ボールベアリング(「丸穴ボールベアリング4個セット」など)
- ※上記以外は、キット付属のパーツでOK。
スピードチェッカーは、ミニ四駆の車輪の回転を受け止めて、速さを計測します。 そのため、車輪の回転数(特にミニ四駆を乗せた直後)にブレが出ると、誤差が発生します。 上記のセッティングにすればトルクが上がるので、車輪の回転数に、ブレが出にくくなります。 誤差が少なくなるわけです。
注意点として、スピードチェッカーには、使用可能なシャーシが決まっています。 ですので、該当しないシャーシを使う場合は、スピードチェッカー(特に回転部分)に当たる箇所がないか、よく確認してください。 もし、当たってしまう箇所があったら、カットしておきましょう。
- ※画像をクリックすると、新規ウインドウで拡大表示。
ワークマシンがないと、スピードチェッカーの利点は半減します。 スピードチェッカーを100%活用できるよう、ワークマシンもバッチリ用意しましょう!
モーターの性能測定
モーターの性能を正確に測定するため、なるべく公平な条件で行います。 具体的には、次の2つです。
- 【モーターの性能を測定する方法】
-
- 1個のモーターにつき、新品のアルカリ電池2本を使用する。
- 走行タイムを計る際、距離は同じにする(300mを推奨)。
誤差が出る可能性を考えて、1個のモーターにつき、3回ずつ計測してみましょう。 モーターを交換する際、グリスをつけ直せば、さらに公平になります。
次の表は、「ハイパーダッシュ3モーター」10個の計測結果です(ブレークインの方法は別々)。
番号 | 1回目 | 2回目 | 3回目 | 合計 | 順位 |
---|---|---|---|---|---|
① | 42秒53 | 44秒28 | 45秒50 | 132秒31 | 6位 |
② | 41秒28 | 41秒65 | 42秒37 | 125秒30 | 2位 |
③ | 41秒56 | 42秒96 | 46秒40 | 130秒92 | 5位 |
④ | 41秒50 | 45秒81 | 46秒67 | 133秒98 | 8位 |
⑤ | 40秒06 | 40秒59 | 43秒03 | 123秒68 | 1位 |
⑥ | 41秒50 | 43秒03 | 43秒90 | 128秒43 | 3位 |
⑦ | 39秒93 | 42秒96 | 45秒71 | 128秒60 | 4位 |
⑧ | 44秒75 | 46秒03 | 44秒78 | 135秒56 | 9位 |
⑨ | 44秒18 | 43秒15 | 45秒28 | 132秒61 | 7位 |
⑩ | 44秒25 | 46秒81 | 47秒31 | 138秒37 | 10位 |
ベスト3は、②⑤⑦です。
⑤は、文句無しの性能で、あらゆる場面で使えるモーターです。
→3回の計測で、いずれもトップレベル。 合計でも1番速い。
②は、電池の消費量が少ないので、長期戦(ロングコースや電池交換不可での連戦など)に向いています。
→3回の計測で、すべて上位。 3回目(電池が減った状態)で1番速い。
⑦は、速い代わりに電池の消費量が多いので、短期決戦(20秒程度で決着がつくレース)に向いています。
→1回目で1番速い。 ただし、以降は順位が次第に下がってゆく。
3回ずつ計測して分析すれば、個々のモーターの性能を見極めることができます。 1回だけの計測では、見えないものが、見えてくるんですね。
次は、実際にコースで走らせてみます。 スピードチェッカーの計測どおりの性能か、確認するのが目的です。 モーターは、スピードだけでなく、微妙なトルクの違いもある(と考えられる)からです。 コースでも、すべて計測するのが理想ですが、モーターの数が多くて大変な場合は、数を絞ると良いでしょう(前述の場合、②⑤⑦の3つなど)。
電池は、タミヤネオチャンプで構いません。 同じ電池で、続けて走らせて、ストップウォッチで計測します。 計測は、タミヤのストップウォッチアプリ(無料)でも良いでしょう。
TAMIYA STOPWATCH サポートページ
なお、モーターにはシールを貼っておきましょう。 モーターの識別(練習用、レース用、決戦用など)が、できるようになります。
シールの貼り方に工夫(普段の練習用には貼らない、決戦用には1番好きな色を貼るなど)をすれば、モーターの使い分けができますし、交換が楽しくなりますよ☆
電池の性能測定
タミヤ製の充電式電池「タミヤネオチャンプ」は、アルカリ電池「タミヤパワーチャンプGT」よりも、個体差が大きいです。 もともとの違いに加えて、使用する期間や頻度によって、性能が変化するからです。
電池(タミヤネオチャンプ)の性能測定も、なるべく公平な条件で行います。 具体的には、次の2つです。
- 【電池(タミヤネオチャンプ)の性能を測定する方法】
-
- 同じモーターで計測する(過熱を防ぐため、間隔をあける)。
- 走行タイムを計る際、距離は同じにする(300mを推奨)。
モーターの性能測定と同じく、1組の電池につき、3回ずつ計測してみましょう。 こちらも電池を交換する際、グリスをつけ直せば、さらに公平になります。
次の表は、タミヤネオチャンプ6組の計測結果です(購入時期は別々、数十回使用)。
番号 | 1回目 | 2回目 | 3回目 | 合計 | 順位 |
---|---|---|---|---|---|
① | 40秒93 | 40秒37 | 41秒12 | 122秒42 | 4位 |
② | 40秒40 | 40秒65 | 40秒56 | 121秒61 | 2位 |
③ | 40秒40 | 39秒90 | 40秒53 | 120秒83 | 1位 |
④ | 40秒06 | 40秒50 | 41秒65 | 122秒21 | 3位 |
⑤ | 42秒53 | 42秒75 | 41秒34 | 126秒62 | 6位 |
⑥ | 40秒56 | 41秒09 | 41秒59 | 123秒24 | 5位 |
モーターほどではありませんが、個体差があることが分かります。 タミヤネオチャンプを2組以上持っているなら、1度、計測してみることをお勧めします。
とっても重要! モーターのコンディション管理
モーターのコンディション管理は、ケースに保管して劣化を防いだり、計測して調子が良いか確認したりすることです。
モーターは、「ミニ四モーターケース」や「ミニ四駆マルチケース」に保管しておきます。 そして、時々(公式大会の前など)、調子が良いかどうか、チェックすることが大切です。
実際、ジャパンカップ東京大会(6/22)の直前にスピードチェッカーで計測したところ、主力の「ハイパーダッシュ2モーター」3個のうち、1個が劣化していました。 今年の3月から使い始めたモーター(10個ブレークインして1番速い)だったのですが、次のように性能が下がっていたのです。
時期 | 1回目 | 2回目 | 3回目 |
---|---|---|---|
3月 | 40秒96 | 41秒46 | 42秒59 |
6月 | 43秒40 | 45秒00 | 45秒25 |
このモーターは、他の2つと同じケースに保管して、コースでたびたび使っていました。 育成していたつもりが、いつの間にか劣化していたのですね。 他の2つは無事で、性能が少し向上していました。 ワークマシンを用意して、スピードチェッカーで計測して、結果を記録しておけば、このような変化にすぐ気づくことができます。
あるトップレーサーの言葉です。
「慣らし技術よりも大事なのは、(モーターの)コンディション管理」
慣らし技術(速いモーターに仕上げるブレークインの方法)を用いて、速いモーターを手に入れるのは重要です。 モーターの速さに大きな差があると、レースでは勝負になりません。 ミニ四駆の構成パーツを、
モーター、
電池、
その他、
の3つに大別した場合、スピードは、モーターが4割以上を占めるからです。
ただ、モーターのコンディション管理も大事なんですね。 前述のとおり、劣化して、性能が下がるケースがあるからです。
モーターが壊れると、ミニ四駆が突然止まるのでビックリしますが、練習走行であれば、不幸中の幸いです。 レース中に突然止まったり、劣化に気づかないまま使ってスピード負けしたりすると、悔しいですよね。
- 速いモーターを手に入れる
- コンディション管理をする
この2つが、ミニ四駆をビュンビュン走らせるための、両輪となるのです。
速いモーターの入手&コンディション管理が、勝利の可能性を高める
モーターの性能測定は、スピードチェッカーが便利です。 お店のコースでは、他のレーサーも走らせているので、計測が難しい場合があります。 スピードチェッカーで計測した後、コースで再確認するのがお勧めです。
「スピードチェッカーは、誤差が出るから信用できない」という方も、いるかもしれません。 また、新しいシャーシや改造したミニ四駆を乗せると回転部分に当たってしまい、計測が難しくなる場合もあります。 ただ、それらの問題は、前述の方法(トルク重視のワークマシン活用、コース計測による2重チェック)で解決します。
※2015/4/13追記 スピードチェッカーで遅くても、コースで走らせると速いモーターはあります(トルクの違いは計測できないため、過信は禁物)。 でも、スピードチェッカーで速いモーターは、コースで走らせても速いです。 今回紹介した方法でモーターを選ぶようにしてからは、公式大会の予選でスピード負けするケースが激減しました。
レースで圧倒的なスピード差があると、絶望的な気持ちになります。 逆に、スピード負けが減れば、気分はかなり楽になります。 たとえコースアウトで負けたとしても、あとは、コースに合うセッティングができれば良いからです。
速いモーターを手に入れて、コンディション管理をすれば、レースで勝つ可能性が高くなります。 少しぐらいミニ四駆を重くしても、ビュンビュン走るようになるからです。 ですので、スピードチェッカーを、ぜひ活用してみてください! そして、速くて調子が良いモーターで、レースに臨みましょう!
以上、ミニ四駆スピードチェッカーの活用でした(^-^)