ミニ四駆のために、しない方がいい4つの改造
初心者にありがちな間違った改造や、経験暦を問わずお勧めできない改造について、解説します。
2017/6/5 この記事は「四輪駆動ラボラトリ vol.4」に収録されています。
> 詳細は「電子書籍」を参照
目次
ミニ四駆の改造には「道」がある
ミニ四駆・パーツの種類は盛り沢山。 その数は、数百種類にも上ります。
ミニ四駆でどう遊ぶかは、遊び手(つまり私たち)に任されているので、何をどうするかは自由です。 自由ですが、ミニ四駆の改造には「道」があって、これを間違えたり無視したりすると、あまり良いことがありません。
今回は、
ミニ四駆の初心者にありがちな、間違った改造、
初心者・経験者を問わず、お勧めできない改造、
について、解説します。
①モーターだけを速くする
速いモーターに交換するだけの改造は、しない方が無難です。 具体的には、「ウルトラダッシュモーター」や「プラズマダッシュモーター」と交換して、他はキット付属のパーツのまま走らせるのは、避けた方が良いです。 その状態でコースを走らせると、ミニ四駆(シャーシ本体)がすぐに壊れる恐れがあるからです。
ミニ四駆の性能(パラメータ)は、
スピード、
安定性、
頑丈さ、
格好良さ、
の4種類に分かれます。 レースで重要なのは、スピード・安定性・頑丈さの3つで、コンクールデレガンスで重要なのは、格好良さです。
ミニ四駆のスピードが速くなると、コースの壁にぶつかる時の衝撃が大きくなるので、受けるダメージも大きくなります。 安定性や頑丈さが低いままだと、コースから飛び出しやすくなったり、壊れやすくなったりします。
モーターは、キット付属のノーマルモーターが最も遅く、
「トルクチューンモーター」、
「アトミックチューンモーター」、
「ライトダッシュモーター」、
の順に速くなってゆきます(受けるダメージも大きくなる)。
> モーターについては、「モーターの種類と性能」を参照。
キットは、ノーマルモーターで走る前提での設計です。 頑丈なシャーシの場合、チューン系モーター(*1)なら平気ですが、ダッシュ系モーター(*2)には耐えることができません。
*1:「アトミックチューンモーター」など、名前が「○○チューン」というモーターの総称。
*2:「ライトダッシュモーター」など、名前が「○○ダッシュ」というモーターの総称。
ですので、速いモーターに交換する場合、補助プレート(頑丈さがアップ)や、マスダンパー&ブレーキ(安定性がアップ)などのパーツも、同時に取り付けるようにしてください。
> 補助プレートについては、「補助プレートについて」を参照。
> マスダンパーについては、「マスダンパーについて」を参照。
> ブレーキについては、「ブレーキについて」を参照。
あるトップレーサーの言葉です。
「速いミニ四駆なら沢山ある。 でも、レースで勝つ強いミニ四駆は少ない」
レースで勝つ強いミニ四駆とは、
スピード・安定性・頑丈さが、高いレベルでバランス良くまとまっている、
なおかつ、
コースの形(起伏や距離)に合わせた、最適なセッティングになっている
ミニ四駆です。 単にスピードが速いだけの、かっとびミニ四駆ではないんですね。
ミニ四駆の改造の基本について、次の記事にまとめています。 スピードを追求するだけでなく、安定性と頑丈さもアップする改造をして、レースで勝てる強いミニ四駆にしましょう!
> 「ミニ四駆の改造の基本」
②説明を読まずに改造する
パーツの説明を読まずに改造するのは、しない方が無難です。 具体的には、付属の説明書・パッケージ裏側の説明をちゃんと読まないでパーツを取り付けるのは、避けた方が良いです。
説明を熟読すれば、パーツを正確に取り付けることができますし、不適切な使い方でトラブルに遭うことも減ります。 逆に、説明をあまり読まずに遊んでいると、なかなか初心者の域から抜け出せません。
ミニ四駆の説明書は秀逸です。 パーツを取り付ける順番や注意事項が、きめ細かく説明されています。
パーツによっては、効果が絵で分かりやすく説明されたり、パッケージの裏側に注意事項が書かれたりしています。
同じパーツでも、シャーシによって取り付け方法や使い方が、違う場合もあります。
補助プレートの説明では、どの穴に、どの大きさのガイドローラーを取り付けるのかが、一目で分かるようになっています。
ミニ四駆には、ビス・ワッシャー・ナットなどの小部品が、たくさんあります。 パーツによっては、たくさんの種類が必要になりますが、1つ1つの小部品の使い方が、とても分かりやすく説明されています。
コースでトラブルを起こしたミニ四駆を見せてもらうと、ワッシャー、スプリングワッシャー、ベアリングスペーサーの3つが、適切に使われていないケースが目立ちます。
ワッシャーは、ミニ四駆やパーツを衝撃から守ります。 スプリングワッシャーは、衝撃を受けてもパーツが外れるのを防ぎます。 ベアリングスペーサーは、ガイドローラーをカッチリ取り付けても、スムーズに回転させます。
> 小部品の詳細については、「小部品について」を参照。
パーツは説明書通りに取り付けないと、本当の性能を発揮することができません。 また、説明書の注意書きを守らないと、思わぬトラブルが発生することもあります。 せっかくお金を払ってパーツを買ったのに、性能を発揮できなかったりトラブルに遭ったりしたら、もったいないですよね。
ミニ四駆は、1つ1つの小部品が適切に使われているかどうかで、明暗が分かれます。 ですので、パーツを買ったら説明を熟読するよう、心がけましょう。 多少めんどうでも、その方が早く上達しますし、ミニ四駆の楽しさが増します。 慣れるまで、説明書は捨てずに取っておくことを、お勧めします。
③いきなり上級者をまねる
ミニ四駆を始めたばかりで、いきなり上級者をまねるのは、しない方が無難です。 具体的には、ミニ四駆を改造したり走らせたりする経験が浅いうちは、提灯(*1)のような複雑な改造は、避けた方が良いです。
*1:提灯(ちょうちん)と読む。 マスダンパーの効果をさらに高めた改造で、立体コース用ミニ四駆の主流となっている。 その効果は絶大で、ジャパンカップ2012のチャンピオンのミニ四駆を始め、多くのレーサーが採用。 マスダンパーをぶら下げた様子が提灯に似ていることから、そう呼ばれている。 「ミニ四駆超速ガイド2013」で詳しく紹介(74〜75ページ)。
> 「ミニ四駆超速ガイド2013」については、「「ミニ四駆超速ガイド2013」がすごい3つの理由」を参照。
初心者でも、上級者の改造をまねすれば、それに近いミニ四駆が作れます。 忠実に再現できれば、コースに点在する難所も、簡単にクリアできるでしょう。 でも、これを繰り返してばかりだと、ミニ四駆は高いレベルでも、レーサー自身のレベルは、あまり高くはなりません。 本当ならぶつかっているはずの壁を、一度にいくつも通り越してしまうため、その経験を積むことができないからです。
あるトップレーサーの言葉です。
「速いミニ四駆を部分的に真似(まね)しても、理由が分かっていないから、セッティングが、ちぐはぐなんだよね」
速いミニ四駆を作る最短の方法は、上級者をまねすることです。
ですが、無加工のパーツを取り付けただけのミニ四駆を、コースで走らせる経験も必要です(きっぱり)。 そうしないと、途中で必ず行き詰まるからです。 上達に必要な壁を無数に飛び越えてしまうと、自分に何の経験が足りないのか、後で知ることが難しくなります。 近道をしたつもりが、かえって遠回りになってしまうわけです。
また、複雑な改造をしても、その効果が出ているか、本当の意味で知ることができません。
たとえば、スライドダンパーを使った経験が無いまま、それをカーボンプレートで自作しても、あまり意味はありません。 無加工のスライドダンパーの性能を知っていないと、自分の中で基準ができていないため、自作したパーツが機能しているか(それとも改造に失敗して機能していないか)が、分からないからです。
ですので、初めは無加工のパーツを取り付ける改造に絞って、そのミニ四駆を色々なコースで走らせてみてください。 また、たくさんのパーツを取り付けないで、なるべくシンプルにすることをお勧めします。 その方が、各パーツの効果が分かりやすいからです。
ARシャーシやMAシャーシなら、複雑な改造をしなくても、すぐに高性能なミニ四駆を作ることができます。
> AR・MAシャーシについては、「ARシャーシとMAシャーシを使ってみよう!」を参照。
ミニ四駆のシャーシやパーツを、本当の意味で思い通りに改造(パーツ加工)するには、「その部品が、どのような思想で設計されているのか」について、理解する必要があります。 シャーシやパーツの本質を深く理解しなければ、本当に必要な部分と不要な部分を見極めることは、できないからです。
シャーシやパーツの本質を深く理解するには、いきなり上級者のまねをしないで、無加工のパーツを取り付けたミニ四駆を、色々なコースで走らせるのが1番です。 その経験を積み重ねれば、加工していない「素」のシャーシ・パーツの良さが、次第に分かるからです。 複雑な改造に挑戦するのは、それからでも遅くはありません。
あせらずに、階段を1歩1歩登ってゆくような気持ちで、ミニ四駆を遊んでみてください。
④モーターを不正改造する
モーターを不正に改造するのは、しない方が無難です。 具体的には、モーターを分解して中身をいじったり、特殊なスプレーを吹きかけて性質を変化させたりするのは、やめた方が良いです。
モーターは、内部の磁石を強いものに交換したり、導線を巻き付けてコイルを太くしたりすると、回転が速くなります。 また、一部の特殊なスプレーを吹きかけると、性質が変わって回転が速くなるみたいです。 次のサイトに、その方法や理由が、詳しく掲載されています。
- 【Yahoo知恵袋】
- URL:http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q11128028051
- 【要約】
-
モーター内部は、安全のため、グリスが塗られている。
このグリスは、電気の流れと回転の抵抗になっている。電気の流れを良くするオイルスプレーを吹きかけると、
グリスが溶けて、電気の流れも良くなって、速くなる。ただし、発火の危険やオイルが飛び散る問題が発生し、
レギュレーション(公式大会の規則)にも、違反する。
レギュレーション(公式大会の規則)では、モーターの改造は禁止されています。 公平な条件で、レースが楽しめなくなってしまうからです。
モーターの不正改造は、個人で楽しむ分には問題ありません。 自分の家で走らせるだけなら、何があっても責任が取れるからです。
でも、お店のコースで走らせるのは問題です。 特殊なスプレーを吹きかける改造は、周囲にも迷惑がかかるからです。 吹きかけたオイルが漏れるとコースが汚れるので、他のミニ四駆に悪影響を与えます。 実際、その改造をしてみた方が、
「確かに速くなる。 でも、オイルでシャーシが汚れるのでやめた」
と話してくれました。
それに、万一、モーターが発火したら大変です。 お店のコースで事故になったら、責任を取るのは難しくなるでしょう。 それまでに積み重ねたミニ四駆の楽しい思い出が、台無しになってしまうかもしれません。
ですので、不正改造のモーターを使って、お店のコースを走らせるのは避けましょう。 まして、ミニ四駆ステーション大会や公式大会で使うのは、もってのほか。 してはいけない行為です。
ミニ四駆は「勝つこと」にとらわれると、楽しむことが難しくなります。 物事というのは、結果にこだわり過ぎると、本当に大切なことが見えなくなってしまうからです。 もし、不正改造のモーターを使っているなら、すぐにやめてください。
もし、周りで不正改造している人を見かけても、ぐっとこらえてください。 「他人がしても、自分はしない」という気概を持てば、それは、あなたとミニ四駆をレベルアップさせる原動力となります。 優れたアイデア(工夫・ひらめき)は、制約の中から生まれるからです。
以前の記事「【検証】モーターのブレークイン」より、ブレークインの方法次第でモーターの性能は大きく変化することが、実証されています。 ご禁制の不正改造をせずとも、モーターを速くすることは可能なわけです。
モーターを速くするブレークインの方法と、必要な機器(モーター慣らし機)の作り方を紹介しています。 簡単に実行できるので、試してみてください。 そして、速いモーターを手に入れてください。
ミニ四駆は、ロールプレイングゲーム
ミニ四駆は、ロールプレイングゲームの「ドラゴンクエスト」や「ポケットモンスター」に似ています。
- レーサー = 登場キャラクター
- ミニ四駆 = 武器・防具・魔法
以前の記事「タミヤ製の電池を使おう!」と「モーターの性能が下がってしまう4つの原因」でも書きましたが、各種モーターとタミヤネオチャンプ(充電式電池)は、育成することができます。 また、自分自身(ミニ四駆の知識、改造の技術、走行の経験)をレベルアップさせれば、高性能なミニ四駆を作り出すことや、コースに合わせた最適なセッティングが、できるようになります。
ミニ四駆は仕組みがシンプルなので、基本が分かれば、すぐに上達できます。 ただ、特別な条件(トップレーサーが身近にいるなど)でも無い限り、すぐに表彰台に立つのは難しいでしょう(特にオープンクラス)。 発売から30年以上も経っているミニ四駆は、遊び始めて10年以上、20年以上という強者の方もいるからです。
あせらないで(すぐに結果を求めないで)、色々なことを試しながら、少しずつ経験を積み重ねて上達してゆくのが、長く楽しめる秘訣です。 そのためには、ずるいこと(モーターの不正改造とか)をするのではなく、勉強と実践を繰り返して、自分自身をレベルアップさせるのが1番です。
- ミニ四駆を、組み立てて改造して、お店のコースで走らせてみる。 ※アイデアを形にする
- ミニ四駆ステーション大会や公式大会に、参加してみる。 ※実戦経験を積む
- ミニ四駆から一歩離れて、勉強してみる。 ※理解を深める
これらを繰り返せば、あなたもミニ四駆も、一緒にレベルアップしてゆけるはずです。 次の記事も、参照してみてください。
> 「ミニ四駆の大会に参加してみよう!」
> 「勉強をがんばると、ミニ四駆が速くなる!
> 「「ライバルは自分」と考えてみよう!」
最後に、復帰直後(約1年前)に作ったミニ四駆と、最近作ったミニ四駆を、それぞれ紹介します。
レベルアップはしましたが、ミニ四駆については、まだまだ分からないことだらけです。 これからも、分かったことを、このサイトに掲載してゆきます。 また、このミニ四駆のような、複雑な改造も紹介します。
このサイトは1人で作っていますが、私独りの力ではありません。 ミニ四駆を通じて知り合った方々から、様々なヒントをもらっています。 特に子供たちからは、こちらが学ばされることが多いです。
ミニ四駆は、これからさらに白熱して、楽しくなります。 遊ぶ人が増えて、競争が激しくなって、全体のレベルが上がって、新しいアイデアが生まれる可能性があるからです。
今回挙げた4つの改造は、しないように注意して、基本を大切にすることを意識してみてください。 そして、自分自身をレベルアップさせて、より高性能なミニ四駆を作り出せるように、なりましょう!
以上、ミニ四駆のために、しない方がいい4つの改造でした(^-^)
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