モーターの性能が下がってしまう4つの原因
ミニ四駆のスピードの命であるモーター。 扱い方によっては、性能が下がってしまいます。 よくあるケースについて解説します。
2017/6/6 この記事は「四輪駆動ラボラトリ vol.7」に収録されています。
> 詳細は「電子書籍」を参照
目次
ミニ四駆は、粗末にすると性能が下がってしまう
ミニ四駆は、がんじょうに作られている反面、とてもデリケートです。 時速30キロメートル以上のスピードで走るので、そう簡単には壊れないのですが、粗末に扱うと、性能が下がってしまいます。 具体的には、スピードが遅くなったり、走りが不安定になったりします。
今回は、モーターの性能を下げてしまう扱い方について、説明します。 よくあるケースは、次の4つです。
- ①車輪の回転を手で止める
- ②長時間コースを走らせる
- ③グリスアップをやらない
- ④トルクを下げて重くする
①車輪の回転を手で止める
ミニ四駆のスイッチを入れたまま、回転している車輪を指でおさえて無理に止めると、モーターが過熱して性能が落ちてしまうことがあります。 モーターだけでなく、内部のギヤも痛めてしまいます。
モーターの性能が落ちると、もう元には戻りません。 生き物には、けがを自然に治す力がありますが、機械には、それがないからです。 ですので、車輪の回転を止めたい時は、スイッチを切りましょう。
また、ミニ四駆を手で押さえながらスタートさせるのも、同じことです。 もし、次の記事を読んでいないなら、一読してみてください。 ミニ四駆のベストなスタート方法は確立されているので、普段からコースで練習しておくと良いですよ☆
> 「スターティングをマスターしよう!」
②長時間コースを走らせる
長い時間、ミニ四駆を連続で走らせると、モーターが過熱して性能が落ちてしまうことがあります。 モーターだけでなく、電池も過熱します。 モーターと電池の熱で、シャーシが溶けて変形してしまうこともあります。
コースをビュンビュン走るミニ四駆を見るのは、楽しいものですよね☆ うれしくて楽しくて、つい長い時間走らせてしまうことが、あるのではないでしょうか? でも、ここに落とし穴があります。 時々、ミニ四駆を休ませないと、モーターの性能が下がってしまう恐れが、あるんですね。
スピードが速いモーターほど過熱しやすいので、いちどに走らせる時間を短くしたり、休ませる時間を長くしたりしましょう。 だいたいの目安を、次の表に示します。
モーター | 走行時間 | 休ませる時間 |
---|---|---|
トルクチューンモーター トルクチューンモーターPRO ハイパーミニモーター アトミックチューンモーター アトミックチューンモーターPRO レブチューンモーター レブチューンモーターPRO |
3〜5分 | 3〜5分 |
ライトダッシュモーター ライトダッシュモーターPRO |
2〜3分 | 3〜5分 |
ハイパーダッシュ2モーター ハイパーダッシュモーターPRO パワーダッシュモーター スプリントダッシュモーター マッハダッシュモーターPRO |
1〜2分 | 走行時間の約3倍 |
> モーターの詳細は、「モーターの種類と性能」を参照。
ミニ四駆をどれぐらい走らせると、どのモーターがどの程度熱くなるかは、VSシャーシやスーパーIIシャーシを使えば分かります。 モーターが、むき出しの状態なので、直接さわることができるからです。
ARシャーシやMAシャーシが直接さわれない構造なのは、安全のためです。 おかげで、モーターが熱くなっても、ヤケドしないで済みます。 その代わり、シャーシが変形するほど熱くならないと、モーターの過熱に気づくことができません。
もし、VSシャーシかスーパーIIシャーシのミニ四駆を持っていない場合は、1台使ってみると良いでしょう。 このサイトでは、それぞれ改造例を紹介しています。
> 「バンガードソニック(スーパーIIシャーシ)の改造に挑戦してみたよ!」
> 「サンダーショット エクスカリバー(VSシャーシ)の改造に挑戦してみたよ!」
③グリスアップをやらない
グリスアップは、グリスを駆動部分につけて、ミニ四駆をスピードアップさせることです。
> グリスアップの詳細は、「グリスアップをマスターしよう!」を参照。
グリスアップをしないでミニ四駆を走らせても、あまり速くはなりません。 また、モーターやシャーシにも、負担がかかってしまいます。 ですので、ミニ四駆を組み立ててブレークインを済ませたら、グリスアップをしておきましょう。
> ブレークインの詳細は、「ブレークインをマスターしよう!」を参照。
④トルクを下げて重くする
トルクは、ミニ四駆のパワー(加速力や坂道を上る力など)のことです。 ギヤ比を小さくしたり車輪を大きくしたりすると、最高速度が速くなる反面、トルクは下がります。 少ない回転で車輪を1回転させたり、いちどに進む距離がのびたりするため、モーターの負担が増えるからです。
> ギヤ比の詳細は、「ギヤ比について」を参照。
> 車輪の詳細は、「タイヤとホイールについて」を参照。
また、パーツ(マスダンパーなど)を取り付けるほどミニ四駆が重くなるので、モーターの負担も増えます。
> マスダンパーの詳細は、「マスダンパーについて」を参照。
「トルクを下げる」「重くする」ほど、モーターの負担が増えてしまい、過熱しやすくなります。 ちょっと走らせただけでも、すぐにモーターが熱くなってしまうんですね。
最高速度を重視して、ギヤ比は[3.5:1]にすることが多いと思います。 ギヤ比を[3.5:1]にした場合、車輪を中径や小径にしたり、ミニ四駆を重くしないよう(目安は電池無しで130グラム以下)にしたりするのが無難です。 うまく調整すれば、モーターの負担が減らせて、ミニ四駆がビュンビュン走るようになりますよ☆
なお、トルクと最高速度は複数の要素(ギヤ比、車輪の大きさ、ミニ四駆の重さなど)が関係するので、理屈だけでは分かりにくいです。 コースでセッティングを変えながら、ミニ四駆を走らせてみてください。 多少面倒でも、実際に色々やってみれば、「ああ、こういうものなんだ」と納得できるはずです。
モーターに負担をかけないことが、性能維持につながる
①②③④全てに共通しているのは、「モーターに大きな負担をかける」ことです。 ですので、モーターに大きな負担をかけないようにすれば、(パーツの寿命による性能低下は別として)不自然に性能が下がることはないわけです。
今回は、この本を参考にしました。
余談ですが、今から20年以上前は、ミニ四駆もパーツも今より種類が少なかったので、みんな同じようなセッティングになりがちでした。 それでも、地元で管理人のミニ四駆は速い方だったので、周りから不思議がられたり、モーターの不正改造を疑われたりしました。
当時、ミニ四駆の主な情報源は本でした。 ミニ四駆が、好きで好きでしかたがない管理人は、本屋さんに通って新しい本を見つけては、すぐに買って何度も読んでいました。
子供の頃に管理人がしていたのは、
ミニ四駆をていねいに組み立てること、
モーターが熱くなるまで走らせないこと、
コースへ行くたびにグリスアップをすること、
の3つです。 すべて本から学びました。
特に、長時間走行はしないよう、気をつけていました。 理由は、「長い時間走らせたら、ミニ四駆やモーターが、かわいそう」だからです。 笑われてしまうかもしれませんが、大人になった今でも、本気でそう思っています。
もしかすると、本を買って読んだり、上記3つのことをしたりしていたレーサーは、少なかったのかもしれません。 子供は大人よりも、手加減をしたりモノをていねいに扱うのが苦手です。 大人に向かって成長するために、体が活発に活動しているからです。 小さい子供ほど、じっとしていられないのは、ごく自然なわけです。
今は、大人もミニ四駆を遊んでいるので、ジュニアクラスもハイレベルです。 それでも、ミニ四駆をていねいに扱うよう心がければ、大人の力を借りずに遊んでいるレーサーの中では、飛び抜けた存在になれるかもしれません。
ですので、ミニ四駆は大切にしましょう。 大切にすればするほど、あなたのその想いに、ミニ四駆はきっと応えてくれるはずです。
モーターは育成できる!
モーターは、育成することができます。 使い続けていると性能が上がってゆき、ミニ四駆のスピードが速くなるのです。 ロールプレイングゲームの「ドラゴンクエスト」や「ポケットモンスター」みたいな感じです。
運動では、適度に練習すれば体をきたえることができますが、無理をすると逆にこわしてしまいますよね? それと同じで、性能を下げないよう気をつけながらミニ四駆を走らせれば、モーターが少しずつ、きたえられてゆくのです。
また、モーター慣らし(モーターのブレークイン)にもポイントがあって、やり方によっては速いモーターに仕上げることができるみたいです(すごいですよね)。 さらに、アルカリ電池(パワーチャンプGTなど)でも速く走るモーターにする方法も、あるのだそうです(人づてに聞いた話です)。 一体、どんな方法なのでしょうね?
今、その謎を解明するために、いろいろと実験しています。 結果が出たら、このサイトで公開します。
※4/25追記 ブレークインの方法を検証した結果、速いモーターに仕上げるポイントが判明。 詳細は「【検証】モーターのブレークイン」を参照。
以上、モーターの性能が下がってしまう4つの原因でした(^-^)