サンダーショット エクスカリバー(VSシャーシ)の改造に挑戦してみたよ!
ミニ四駆ステーション大会(3レーンでの店舗レース)用に、サンダーショット エクスカリバーを改造してみました。
2017/6/5 この記事は「四輪駆動ラボラトリ vol.16」に収録されています。
> 詳細は「電子書籍」を参照
目次
サンダーショット エクスカリバーの概要
サンダーショット エクスカリバーは、アミューズメント限定商品(UFOキャッチャーの景品)です。
以前、アミューズメント施設に行った記事・制作した記事を書いています。 詳細は、次の記事を参照してください。
> 「サンダーショット エクスカリバーを手に入れよう!」
> 「サンダーショット エクスカリバーを作ってみたよ!」
サンダーショット エクスカリバーのベースマシン「サンダーショットJr.」は、第1次ブームを牽引したミニ四駆の1つです。
1988年のジャパンカップでは、地区大会で優勝したミニ四駆の、約3分の1を占めていました。 女性に特に人気が高いミニ四駆で、現在も様々なバージョンが発売されています。
エアロサンダーショット(ARシャーシ)
サンダーショットMk.II ピンクスペシャル(MSシャーシ)
改造したサンダーショット エクスカリバーの詳細
これが、改造したサンダーショット エクスカリバーです。 もともとのデザインを重視するため、ボディカラーとシールは変えていません。
今回は、VSシャーシということもあって、色々と手を加えてみました。 VSシャーシは、タイプ1シャーシが純粋に進化したものです。 ですので、第一次ブームの頃にミニ四駆に熱中した方には、親しみやすくて思い入れが強いシャーシでは、ないでしょうか。
改造前(前回制作時)と比較してみます。 だいぶ変わっていますねv(^-^)>
それでは、改造した内容を、1つ1つ紹介してゆきましょう!
改造その1:ステアリングとスライドダンパーを組み合わせてみた
VSシャーシには、ステアリング(自転車や自動車のハンドルに該当するもの)を取り付けることができます。 グレードアップパーツは、ステアリングシステムセット(VS・TZ・TZ—Xシャーシ用)です。
サンダーショット エクスカリバーはVSシャーシなので、ステアリングシステムを組み込むことにしました。 ステアリングバーに、2本のビスを止めている理由は、後述します。
ステアリングの内部には、軸受けとして、「AO-1012 850ボールベアリング2個セット」を入れました。 車輪の回転がスムーズになるので、ミニ四駆のスピードがアップします。
前(フロントバンパー)に「フロントワイドスライドダンパー」を取り付けて、「スーパーXシャーシ・FRPリヤローラーステー」でステアリングバーと結合。 コーナーを曲がる際、スライドダンパーと連動して前輪が曲がります。 このおかげで、コーナーをスムーズに走ることができます。
ちなみに、スライドダンパーのバネは、弱い方(黒色)を入れました。 強い方(銀色)よりもスライドしやすいので、コーナーで前輪がよく曲がってくれるかもしれないからです。
スライドダンパーは、シャーシ下側の「FRPマルチワイドリヤステー」を経由して取り付けています。 FRPプレートはシャーシに合わせてカットして、「フロントアンダーガード」でサンドイッチする感じで取り付けました。
スライドダンパーとFRPプレートの間には、キット付属のハトメを入れるスペーサーと、後述の「強化リヤダブルローラーステー(3点固定タイプ・ホワイト)」に付属のスペーサーを入れています。
フロントのガイドローラーは、「HG 19mmオールアルミベアリングローラー」です。 コースの壁から受ける衝撃を和らげて、コーナーでの安定性を高めてくれます。 また、「ローラー角度調整プレートセット」に付属の角度調整プレート2枚(2度+3度)を挟んで、スラスト角を5度にしています。
> スラスト角については「ローラーセッティングをマスターしよう!」を参照。
ステアリングを取り付けるパーツの付け根を、少しカットしました(写真左)。 こうすれば、付け根の上にステアリングバーが重なるので、スライドダンパーの動きに合わせて、さらに深く曲がるようになります(写真右)。
ステアリングシステムの開発は、今から15年以上前にさかのぼります。
RCカーのステアリングを、ミニ四駆に搭載できるようにするなんて、すごいですよね。 土屋博士を始めとするTRFのみなさんには、本当に脱帽してしまいます。
改造アドバイス
シャーシ上側のネジ穴は、ビスが入れやすいように、入り口が少し大きめになっています(写真左)。 でも、シャーシ下側のネジ穴は、そうではありません。 このため、ビスを入れようとすると、上側よりも手間がかかります。
そこで、ピンバイス(刃のサイズは2mm)で、入り口を少し広げます。 その後、トラスビスをねじ込んで、ビス穴を広げます。 こうすれば、本番でビスが入れやすくなります。
カット済みのFRPプレートを、ネジ止めして固定します。 この後、左右どちらか一方のトラスビス(2本)を外してから、フロントアンダーガードを片方ずつ、サンドイッチする感じで取り付けます。 ちょっと手間がかかりますが、このように丁寧に作業すると、スムーズかつ綺麗に取り付けることができます。
なお、「世界最小モータースポーツ最速改造理論」によると、「FRPプレートにはガラス繊維が含まれているので、切断したり削ったりした際に出る粉は吸うと有毒。 加工の際は十分に換気し、小さな子供や動物がいる場合は作業しないよう注意」とのことです。
FRPプレートって、けっこう物騒な代物なんですね(汗)
改造その2:ボディ全体をマスダンパーにしてみた
ブラストアローの改造と同じように、ボディ全体をマスダンパー(ボディダンパー)にしてみました。 ボディを持ち上げて手を離すと、次の写真のようになります。 立体コースでジャンプして着地した際、ボディ全体がマスダンパーのように機能します。
> 詳細は「ブラストアロー(MAシャーシ)の改造に挑戦してみたよ!」を参照。
横のマスダンパーは、サンダーショットの名前にあわせて、ミサイル風にしてみました。 マスダンパー(ボウル)とアジャストマスダンパーを組み合わせて、ビスの先端にピニオンギヤ(紫)を入れています。 ビスの長さを調節すれば、マスダンパーの量を増減させることができます。
このマスダンパーは、「ARシャーシ サイドマスダンパーセット」と「アジャスト マスダンパー(2.5g×6個)」に入っています。
ボディの取り付けは、「ボールリンクマスダンパー(六角ウエイト)」のパーツを利用しています。 シャフトは、「スーパーXナット止め小径ホイール」などに入っているネジ付きタイプです。 細いので、シャーシやホイールには接触しません。
ボディは、補強を目的とした垂直面(写真左)を利用して、裏側から固定しています(写真右)。 FRPプレートは、「FRPマルチワイドステー」と「ARシャーシ サイドマスダンパーセット」を組み合わせて、不要な部分をカットしています。
ボディダンパーにするボディは、平らな形のミニ四駆が一般的です。 このため、どうしても種類が限られてしまいます。 でも、ボディ裏側の垂直面を利用すれば、サンダーショットのような流線形のボディでも、ボディダンパーにすることができます。
ボディダンパー化が難しそうな、お気に入りのボディがあったら、ぜひ裏側をチェックしてみてください!
裏側の先端には「アンダースタビヘッドセット」の青色部品を取り付けて、ボディダンパーが電池(前輪のすぐ後付近)に当たるようにしています。 マスダンパーの取り付け位置は、「前輪のすぐ後ろが、最も安定する」からです。
> 詳細は、「ダンパーセッティングをマスターしよう!」を参照。
改造アドバイス
FRPプレートは、大型の切断工具(写真はペンチに備え付けの刃)を用いれば、簡単に切断できます。 家に無い場合は、金物屋さんに行って、探してみましょう。
ボディを加工する場合、切断する範囲に沿って、ピンバイスで穴をあけます。 一通りあけた後、穴に沿って、ニッパーで切ってゆきます。 穴をあけないで、いきなりニッパーで切ろうとすると、ボディを痛めてしまうからです。
スーパーX用のネジ付きタイプのシャフトには、ナットが取り付けられていますが、釘抜きなどで簡単に外すことができます。 今回は不要なので、少しでも軽くしたい場合は、外してしまいましょう。
改造その3:後部にFRPプレートを取り付けてみた
シャーシ後部に「強化リヤダブルローラーステー(3点固定タイプ・ホワイト)」を装着して、さらにFRPプレートを取り付けました。 このFRPプレートは、「ボールリンクマスダンパー(六角ウエイト)」に入っています。
次のように、マスダンパーが取り付け可能になります。 ボディキャッチャーを取り付ける部分は不要なので切断し、マスダンパーと当たらないようにしました。 FRPプレートの裏側から、ナットとスプリングワッシャーで挟んで(隠れて見えませんが)、キャップスクリューがブレないようにしています。
リヤのガイドローラーは、「AO-1008 830ベアリング2個セット」です。 ガイドローラーの中では、径が最も小さい(8mm)ので受ける衝撃は大きくなりますが、接地面積が広いのでミニ四駆を支える能力は高いです。
ブレーキは「ARシャーシ ブレーキセット」で、「FRPマルチ補強プレート(ショート)」で固定しています。
改造その4:ワンロックギヤのロック部品を取り付けてみた
スーパーIIシャーシ専用のグレードアップパーツ「強化ギヤ&ワンロックギヤカバー(スーパーIIシャーシ用)」に付属のロック部品を、ギヤカバー付近に取り付けました。 立体コースを走行中、衝撃でミニ四駆のギヤカバーが外れるアクシデントを防ぐことができます。
改造アドバイス
シャーシの下側(ギヤカバー付近)から、ピンバイス(刃のサイズは1.5mm)で穴をあけます。 その後、シャーシの上側から、ピンバイスで穴を少し広げます(ビスを入れやすくするため)。
ロック部品を、次の写真のようにカットします(左がカットする前、右がカットした後)。
ロック部品をシャーシにビス止めした後、ギヤカバーに当たる部分をカットします。
改造その5:ターミナルの裏側にスポンジを貼ってみた
ターミナルの裏側に、小さく切った緑スポンジを貼り付けました。 電池とターミナルの接触が良くなるので、ミニ四駆のスピードがアップします(接触不良によるスピードダウンも防ぎます)。
緑スポンジは「ブレーキスポンジセット」に入っています。 また、スポンジの貼り付けには、「タミヤ瞬間接着剤(ゼリータイプ)」を使用しています。
改造その6:アルミモーターサポートを取り付けてみた
スーパーIIシャーシ専用のグレードアップパーツ「アルミモーターサポート」を、2mm程度カットして取り付けました。 モーターの放熱性能(熱を逃がす効果)が上昇するので、速度維持が期待できます。
なお、カットした部分は鋭くて危ないので、紙ヤスリで削って滑らかにしておきましょう。
改造その7:他のグレードアップパーツに変更してみた
前回のエアロアバンテ レッドスペシャルと同じく、今回も各種グレードアップパーツに変更しました。
- 軸受けを620ボールベアリングに変更
- ターミナルをゴールドターミナルに変更
- プロペラシャフトを中空タイプに変更
- ギヤシャフトをフッ素コートに変更
- ホイールにシャフトを貫通
これらは全て、ミニ四駆のスピードアップにつながります。
> 詳細は「エアロアバンテ レッドスペシャル(ARシャーシ)の改造に挑戦してみたよ!」を参照。
まとめ
今回の改造をまとめると、次のようになります。
- ①ステアリングとスライドダンパーを組み合わせた ※スピードアップ↑、安定性アップ↑
- ②ボディ全体をマスダンパーにした ※安定性アップ↑
- ③後部にFRPプレートを取り付けた ※ 〃
- ④ワンロックギヤのロック部品を取り付けた ※ 〃
- ⑤ターミナルの裏側にスポンジを貼った ※スピードアップ↑
- ⑥アルミモーターサポートを取り付けた ※ 〃
- ⑦他のグレードアップパーツに変更した ※ 〃
重量は、電池無しで147.1gです。 マスダンパー(横)も含まれているので、決して悪い数値ではありません。 この重量で車輪が大径であっても、ギヤ比を[4:1]程度にすれば、十分な加速力が得られます。
このミニ四駆を、越谷レイクタウンにあるミニ四駆ステーションのコース(下の写真)で走らせてみました。
ボディダンパーのおかげで、ジャンプ台から勢いよくジャンプしても、しっかりと着地してくれます。 フロントが重いおかげか、ハイパーダッシュ2モーターでも、レーンチェンジをバッチリクリアしてくれました。
ステアリングでコーナーを滑らかに走ったり、連続S字カーブを「クイッ、クイッ」と器用に曲がってくれる姿は、見ていてすっごく楽しいです(≧∇≦) 店舗レースでも、ぜひ走らせてみたいですね☆
ステアリングシステムは、かなり面白いです。 取り付け可能なシャーシは、VS・スーパーTZ・スーパーTZ—Xですが、改造次第で他のシャーシにも、組み込むことができるかもしれません。 それに、見方を変えれば、サスペンション(地面からの衝撃を吸収する)システムに転用できる可能性があります。
そう言えば、「マッドブルJr.」(シャーシはスーパーTZ—X)が再発売されましたね。
余談ですが、ミニ四駆の改造って、自己満足で終わることもあります。 基本設計がしっかりとしているので、下手にいじると、かえって性能が下がってしまうからです。
でも、それでも自己満足って、とっても大切だなぁと感じるんですね。
たとえ、実戦向き(レースに勝てる強いミニ四駆)でないとしても、思い描いた通りに改造して、実際にコースで走らせてみる。 それが狙い通りに決まったら、嬉しいものです。 もし狙い通りに決まらなくても、次の改造に活かすことができます。 今回の改造は、そんなミニ四駆の楽しさの原点を、再認識させてくれました。
サンダーショット エクスカリバーは、まだまだ改善の余地があります。 なるべくグレードアップパーツを活用する(自作パーツへの変更は避ける)方向で制作・改造しているからです。
「自分だったら、もっと、こう改良するよ!」
の勢いで、ぜひ、あなたのお気に入りのミニ四駆に、今回の改造を組み込んでみてください!
以上、サンダーショット エクスカリバー(VSシャーシ)の改造でした(^-^)