プラモデルショップ シャトルに行ってみたよ!
埼玉のミニ四駆ステーション「プラモデルショップ シャトル」の紹介です。
2017/6/6 この記事は「四輪駆動ラボラトリ vol.9」に収録されています。
> 詳細は「電子書籍」を参照
昔ながらの駄菓子屋みたいな、地域密着型の模型屋さん
国道4号線沿い、東武スカイツリーライン「せんげん台」駅のすぐ近くに、地元を始め多くの方々から愛されている、ミニ四駆ステーションがあります。 そのお店の名前は「プラモデルショップ シャトル」(以下、シャトル)。
シャトルは、住宅街の一画にあります。 外観は、一見すると、民家と倉庫です(クリックすると、別ウインドウで拡大表示)。
でも、看板の横には、しっかりとタミヤのマークが掲げられています。 民家は住居兼店舗で、倉庫はミニ四駆を走らせる場所です。 シャトルは、れっきとしたミニ四駆ステーションなのです。
それでは早速、シャトルに入ってみましょう。 ふと、入り口の横を見ると。。。
おお〜、コース料金が100円! 1コインで1日中、ミニ四駆を走らせ放題ですか!? リーズナブルですね☆
別の張り紙もあります(クリックすると、別ウインドウで拡大表示)。
オータムタイムトライアルの告知でした。 優勝すれば、静岡で開催されるタミヤフェアでの「ミニ四駆ステーション・チャンピオン決定戦」に参加することができます。
張り紙の下の方には、「がんばって下さい」との応援メッセージが書かれています。 手書き文字って、あったかいですね♩
シャトル店内の様子です。 お茶の間と隣り合わせの空間には、ミニ四駆、ガンダム、ダンボール戦記などのプラモデルが、ところ狭しと並んでいます。
カウンターのガラスケース内には、ミニ四駆が展示されています。 これは、お客さんから預けられたミニ四駆で、返してもらいに来ることは、ほとんどないとか。 事実上の寄贈ですね☆(クリックすると、別ウインドウで拡大表示)
預けられたミニ四駆は他にもあるそう(しかも見せてもらえるとのこと)なので、お願いしてみました。 ミニ四駆だけでなく、ダンガンレーサーも登場です(クリックすると、別ウインドウで拡大表示)。
「実戦向きに改造するだけが、ミニ四駆ではない」 制作者のこだわりと造形美が、感じられます☆
カウンターの奥には、ミニ四駆のグレードアップパーツが、凝縮して陳列されています。 このスペースで、これだけの種類が置かれているお店は、なかなか見当たりません。 豊富な品揃えですね〜。
店主さんは、まめに問屋さんに出かけて、商品を仕入れているそうです。 何でも、商品で埋まっている状態が好き(スペースが空いているのはイヤ)なのだとか。 お店は、用事がある日以外は開けているので、ほぼ年中無休。 精力的ですよね〜。
棚を眺めていると、店主さんから
「ここに置いてない商品もあるから、欲しいのがあったら言ってみてね」
と声をかけられました。 えっ、そうなんですか! じゃあ、それじゃあ、あのパーツもあるかな。。。
結果、あまり見かけない、めずらしい商品を買うことができました\(^o^)/ ミニ四駆の改造で使う日が、待ち遠しいです(≧∇≦)
カウンター横には、「うまい棒」がありました。 懐かしい〜 o(*゚▽゚*)o
1本10円ですけど、これ、うまいんですよね〜。 こちらもすかさず購入です(≧∇≦)
コース設置場所の様子です。 これは、フラット(平面)コースですね。
ループセクションがありました。 なかなか見られない、珍しいセクションです。 今回は組み込まれていませんが、このセクションがあるコースでも、ぜひ走らせてみたいです。
わお、何とダンガンレーサーのコースがありました! これはすごい。。。 直接見るのは、初めてです。
ミニ四駆を走らせているお客さんがいたので、聞いてみました。
近所に住んでいて、子供の頃から(シャトルで)ミニ四駆で遊んでいた。 最近、少し時間の余裕ができたので、ミニ四駆を再開したのだとか(シャトルの常連さんなんですね)。
また、シャトルでは、商品の取り置きをお願いできるとのことです。 たとえば、新しい商品が入っても手持ちのお金が少ない場合、
「1週間後に買うので、それまで売らずに取って置いてください」
と、お願いできてしまうわけです。 地域のお店ならではの、サービスですね☆
常連さんは、お子さん(女の子)のために制作されたミニ四駆も、走らせていました。 キティちゃんやダイヤのシールがきらびやかに貼られている、かわいいミニ四駆でした。 かわいいですが、スピードは、かなり速かったです。 話に夢中で、その写真を取り逃したのが、ちょっぴり残念(>_<)
まるでサークル活動みたいな店舗レース
後日、シャトルの大会(オータムタイムトライアル)に参加しました。
店内で受付をします。 右奥の女性が、シャトルの店主さんです。
大会開催前のコース周辺の様子です。 すでに参加者でいっぱいです。
主要なピットスペースは、ほぼ埋まってしまっています。 闘いは、すでに試合の前から始まっているんですね。
試走もバンバン行われていました。 一体、どんなレースが繰り広げられるんでしょうね。
先日ミニ四駆を走らせていた、常連さんのお子さんです。 今は、親子で遊びに来ているんですね。
こちらは、最年少レーサーのまなき君。 ほかの常連さんのお子さんで、1歳半なのに、自力でミニ四駆に電池をセットして、スイッチを入れて走らせることができちゃうのだとか。 すごいですよね!
もし公式大会に出場したら、大会最年少記録が塗り替えられてしまいそう。 将来が、とても楽しみです。 タミヤさ〜ん、見てますか〜!? |(*゚▽゚*)_
いよいよ大会が始まります。 大人も子供も、みな真剣な表情。 こちらも緊張してきます。
シャトルの大会は、タイムトライアル形式で、ジュニアクラスとオープンクラスに分かれて行われます。 1エントリー300円で、ミニ四駆を3回走らせることができます。 まれに、2エントリーするお客さんもいます(600円払って6回挑戦)。
タイムは「ミニ四駆ラップタイマー」で計測。 走行前に、必ず車検が行われます。
大会のルールは、レギュレーション(公式大会の規則)に準じます。 ただ、使える電池は、大会当日シャトルで購入した「タミヤ単三電池パワーチャンプGT」のみです(別途、280円が必要)。 コースの試走は、持って来た電池(タミヤネオチャンプなど)でもOKです。
以前は、持って来た電池でも大会に参加できたのですが、充電が上手なレーサーと他のレーサーとの間で不公平にならないよう、今の形式に変えたのだそうです。
管理人も参加したのですが、立体コース用のミニ四駆からマスダンパーを外して臨んだところ、まったく歯が立たず(>_<) みなさんフラットの達人という感じで、どのミニ四駆も、とても速かったです。
それでも常連さんのうち、ジャパンカップに出場するのはごくわずかで、シャトル以外の場所で走らせる方も、かなり少ないそうです。 常連さんのほとんどが、シャトル一筋。 公式大会にはあまり興味が無くて、もっぱらこの場所で遊ぶのが好きなんですって。 以前は、出産と同時にミニ四駆を引退した、凄腕の女性レーサーもいたそうです。
こんなに速いミニ四駆を走らせるのに、ちょっぴりもったいない気がしました。 でも、それだけシャトルが好きだってことなんですね。
全員のタイムアタックが終わると、今度は、お楽しみ抽選会が始まります。 エントリーシート(受付の時に渡され、3走目に回収される)が1枚ずつ読みあげられ、名前が書かれた参加者が、景品をもらうことができます。
管理人もいただきました。 あれ? 景品代が、エントリー代(300円)を上回っていますね(笑) 電池代280円を含めても、大会を楽しむことができたことを考えれば、お得感いっぱいです☆
大会終了後の様子です。 参加者の方々が、談笑しています。
この日、ミニ四駆ステーション・チャンピオン決定戦の出場権を獲得したレーサーです。 優勝したのは別の方ですが、辞退してシャトルの推薦扱いとなり、この方が名乗りを上げました。
この方は、タミヤフェアの日まで、仕事が一週間休みなのだそうです。 まさに、グットタイミング☆ きっと、ミニ四駆の神様からの贈り物でしょう。 シャトル代表として、がんばってください!
シャトルは、ミニ四駆ステーションの中では小規模です。 コースが設置されている場も、狭いです。 でも、だからこそ生まれる魅力があります。
何と言うか、こう、密着感が違うんですね。 学校のクラブ活動での、部室に近いイメージです。 限られた空間に大勢の人が集まって、わいわいミニ四駆で遊んでいる。 「シャトルとミニ四駆が、純粋に好きな人たちの集い」という感じがするのです。
大会が始まると、
「あれ? タイヤ飛んだよ」
「なんか、(ミニ四駆が)飛び出したね」
と声を掛け合いながら、外れたパーツやコースアウトしたミニ四駆の受け渡しがなされます。 その場にいる全員が、レーサーでありながら係員でもあるような、そんなやり取りが交わされるのです。
車検やタイム計測は、参加者でもある常連さんたちが、ボランティアで交代しながら行っています。
走らせる順番は、完全に自由です。 1走ごとに入念に調整しているレーサーもいれば、すぐに3走して集計を待ちつつ、観戦したりお喋りしたりするレーサーもいます。 アルカリ電池を追加購入する、熱心なレーサーもいます。
常連さんたちは、子供の時からシャトルでミニ四駆を走らせて、大人になっても変わらずに来店して、結婚して親になったら子供も連れて遊びに来ています。 逆に、親を連れて遊びに来ている子供たちもいます。
大会は、なごやかな明るい雰囲気で、大学や社会人などの集まり(サークル活動)を思わせます。 きっと、ミニ四駆はもちろん、シャトルが大好きな方たちが、集まっているからなのでしょう。
正直、初めは「同時にミニ四駆を走らせないと、ちょっと物足りないなぁ」と思いました。 でも、実際に大会に参加してみると、「タイムアタック形式も、悪くないな」と思い直しました。
ジャパンカップを始め、店舗レースの大半は、ミニ四駆を一斉に走らせる形式です。 抜きつ抜かれつの展開は、見ていて楽しいですが、負けた時はハッキリと差をつきつけられてしまいます。
シャトルの大会は、1台ずつタイムを計って、集計して順位を決めます。 このように、ワンクッションおいた競技形式が、なごやかな雰囲気作りに一役買っている気がしました。
気概とサービス精神を兼ね備えた店主さん
シャトルを切り盛りしている店主さんに、お話を伺いました。
お店を始めたきっかけは、東京で模型屋さんを経営していた友人から、勧められたからだそうです。
お店は今年で31周年。 開店当初から、ミニ四駆を扱っていました。 その理由は、「商品の販売だけで、終わらせたくなかった」「販売した商品で、子供たちが遊べる場を提供したかった」からです。 チョロQなど、他にも候補はありましたが、ミニ四駆が最適だと店主さんは判断します。
ミニ四駆のコースはベニヤ板で(他に仕事を持つご主人が)制作し、タミヤから「ミニ四駆 ジャパンカップ ジュニアサーキット」が発売されるまで、大活躍していました。
毎月、シャトル独自の大会も開催。 日にちは、月の1番最後の日曜日で、これは開店当初からずっと変わらないそうです。 31年間、ずっとです。 大雨が降っても、参加者が1人でも、やってしまいます。 大晦日の前日(12月30日)に開催した時も、あったそうです。
ガンダムのプラモデルの関係で、一時期バクシードを扱っていたこともあります。 店舗レースも開催していましたが、タミヤのミニ四駆の大会とは、はっきり分けていました。
「ほかの会社からも(ミニ四駆が)色々出ていたけれど、ミニ四駆はタミヤがナンバー1よ。 工具もそう」
店主さんは、力を込めて言われます。
プラモデルは、ガンダム、ダグラム、ボトムズなどを扱っていて、お客さん達が組み立てたプラモデルのコンテストも開催。 バンダイが取材に来るほどの盛況ぶりでした。 たとえお店は狭くても、中身はとても濃いわけです。
お店を続けていく過程で、大変な時期は、何度もあったそうです。
現在と違って、開店当時はゲーム機(ファミコンなど)が無く、子供たちの遊ぶ方法は限られていました。 そのため、ミニ四駆は口コミで、どんどん広がっていきました。 でも、ゲーム機が次々に発売される、日本が不況にさらされる、防犯強化で子供たちの門限が厳しくなるなど、様々な要因が重なります。
周りの模型屋さんは、どんどん姿を消してゆきました。 シャトルとお客さん同士の交流があったお店も、無くなってしまいます。 それでも店主さんは、お店を続けました。 そして、31年間、ミニ四駆の大会を開催し続けてきたのです。
「何でも続けなきゃ。 続けることが大事なのよ」
店主さんは、静かに語ります。
お店が、ほぼ年中無休なのは、前述のとおり。 商品のリクエストがあれば、問屋さんへ出向いて、蔵前でもどこへでも、電車に乗って探しに行ってしまいます。 最近、冗談まじりに「あと4年で、お店を辞めるわよ」と言ったら、その場にいたお客さんたちに囲まれて「お店辞めないでよ」「ずっと続けてよ」と口々に言われてしまったそうです。
すでに高齢になった店主さんにとって、お店の仕事は決して楽ではありません。 「それでも、お店を続ける理由は何ですか?」と聞くと、「あの子(=シャトルの常連さん)たちから「おばちゃん、おばちゃん」と言われて(お店に)来られると、辞められないのよ。 あの子たちから、エネルギーをもらっているのね」と店主さん。
先日も、インターネットでお店を知ったというご夫婦が来店し、今度は子供を連れて来るとのこと。 シャトルのお客さんは、これからも増え続けてゆくんでしょうね、きっと。 「ますます、お店を続けなきゃ!」ですね、店主さん☆
店舗情報
「プラモデルショップ シャトル」の店舗情報です(2013年11月現在)。
- 住所 :埼玉県 越谷市千間台東2ー16ー13
- 電話 :048ー977ー6386
- HP :なし
- 営業日:ほぼ年中無休
- 時間 :10時〜20時(コース利用は18時半頃まで)
- コース:常設
- 料金 :コース代 ¥100(1日)
充電代 ¥200(1日) ※何回でも充電可能(充電器は要持ち込み) - 大会 :毎月、最後の日曜日、午後2時より開催
別途、タミヤの公式大会を開催(同時開催の場合もあるので要確認)
シャトルは、東武スカイツリーライン「せんげん台」駅から徒歩5分程度(距離は約200メートル)の場所、国道4号線沿い(49号を抜けた先)にあります。 商品の品揃えは、スペースの割に、かなり充実しています。
タミヤが主催する公式大会(ジャパンカップなど)と同じ日に、お店の大会が開催されることもあります。 大会が始まっても途中から参加できるので、東京の公式大会(品川シーサイドなど)で午前中に終わって走り足りない場合、足を運んでみてはいかがでしょうか?
実際、公式大会と開催日が重なると、お客さん達と次のようなやりとりが何度も交わされるそうです。
- お客さん「おばちゃん、悪いけど、今度の日曜日は向こうに行ってくるね」
- 店主さん「いいのよいいのよ、行ってらっしゃい」
- お客さん「早く終わったら、こっちに来るよ」
駐車スペースは1台分なので、すぐに埋まってしまいます。 自動車で向かう場合は、近隣にあるショッピングセンターの駐車スペースや、シャトルのすぐ近くにある有料駐車場を利用すると良いでしょう。
シャトルの隣には、ガソリンスタンドもあるので、給油もばっちりOKです。
このガソリンスタンド、シャトルを見つける目印にもなるんですよ☆
取材を終えて
シャトルの店主さんは、「とても気概があって、サービス精神が旺盛な方」だと感じました。 人の役に立ちたいという気持ちが人一倍強いからこそ、お客さん達からの想いがエネルギーに変わるわけです。
お客さん達は、近隣にあるショッピングセンターで、駐車スペースやトイレを利用するだけでなく、お買い物もしてゆきます。 お金の使い方を、きちんと知っている方々なのですね。
大変な時期があってもお店を続けることができたのは、店主さんの「子供たちの遊べる場を守りたい」という強い想いがあったからに違いありません。 常連さん達にとっても、シャトルは「子供時代の思い出が宿っている場」なのでしょう。
素敵なお店は、素敵な店主さんと、それに呼応する素敵なお客さん達によって、作られてゆく。 シャトルの取材を終えて、そう感じました。
以上、「プラモデルショップ シャトル」の紹介でした(^-^)