エアロアバンテ レッドスペシャル(ARシャーシ)の改造に挑戦してみたよ!
ミニ四駆ステーション大会(3レーンでの店舗レース)用に、エアロアバンテ レッドスペシャルを制作・改造してみました。
2017/6/5 この記事は「四輪駆動ラボラトリ vol.15」に収録されています。
> 詳細は「電子書籍」を参照
目次
エアロアバンテの概要
エアロアバンテは、ARシャーシを搭載したミニ四駆の第1弾として、2012年(ミニ四駆30周年の年)に発売されました。 「ミニ四駆超速ガイド2013」には、「数えきれぬほどの「元レーサー」たちをサーキットに復帰させる原動力ともなっている」とあります。 そのわけは、25年前に発売された、アバンテJr.にさかのぼります。
アバンテJr.は、タイプ2シャーシを搭載したミニ四駆の第1弾として、1988年に発売されました。 軸受けにボールベアリングを装備可能など、タイプ1シャーシよりも遥かに高性能だったのです。 今では常識でも当時は画期的だったため、ミニ四駆で遊んでいた子供達はビックリして、競って買いに行きました。
多くのお店が品切れ状態で、どこかが100台ほど仕入れても、わずかな時間に売り切れてしまうほどの人気ぶり。 「ミニ四駆ヒストリカルガイド」によると、歴代ミニ四駆で売上No.1とのことです。 アバンテは、かつて遊んでいた人達を再びミニ四駆に引き戻すには、最も適したミニ四駆なんですね。
エアロアバンテ レッドスペシャルは、今年の6月、エアロアバンテの限定版として発売されたミニ四駆です。
改造したエアロアバンテ レッドスペシャルの詳細
これが、改造したエアロアバンテ レッドスペシャルです。 ボディカラーはF1レースをイメージして、黄&黒にしてみました。 レッドスペシャルの名前に沿って赤&黒が良いかも知れませんが、赤黒カラーのミニ四駆って、意外と多いんですよね。 大会で自分のミニ四駆が判別しにくくなると困るので、あえて避けました。
今回も、あまり手を加えずに、シンプルな改造を目指しました。 ARシャーシは、もともとの完成度が非常に高いので、下手に手を加えると性能が下がってしまうからです。
今回は、パーツ変更など、今まで省略していた改造についても解説します。
改造その1:FRPプレートとピロボールを取り付けてみた
シャーシ横にFRPプレートを取り付けて、マスダンパーを装備できるようにしました。 このFRPプレートは、「ARシャーシ サイドマスダンパーセット」に入っています。
また、シャーシ前後にピロボール(銀色の球)を取り付けて、ボールリンクマスダンパーを装備できるようにしました。 ピロボールは、「ボールリンクマスダンパー(六角ウエイト)」に入っています。
マスダンパーをフル装備すると、こんな感じになります。 安定性、めっちゃ高そうです☆
ちなみに、ボールリンクマスダンパーの長さは、通常よりも長くしています(左側が通常、右側が改造版)。 支点(ピロボールの位置)からの距離が長いほど、マスダンパーの効果が高くなるからです。
この方法は、タミヤジュニアニュースvol.157(2013年9月号)を参考にしました。
フロントのガイドローラーは、「ゴムリング付 2段アルミローラーセット(13-12mm)」です。 FRPプレートの「ミニ四駆PRO FRPワイドプレートセット」で、ローラー幅を広げています。
接地面がゴムのガイドローラーは、安定性が高い代わりに、コーナーで大きく減速します。 2段式の場合、通常走行時は下段のアルミ部分だけが接地する(上段のゴム部分は接地しない)ので、前述のデメリットが無いんですね。 ミニ四駆が傾いた場合のみ、上段のゴム部分が接地します。 その結果、強いダウンフォースが生まれるので、コースアウトを防いでくれます。
> ダウンフォースについては、「ローラーセッティングをマスターしよう!」を参照。
また、フロント下には「フロントアンダーガード」を取り付けました。 ジャンプ時の姿勢を安定させるだけでなく、万一、コースの壁に乗り上げても復帰してくれます。
リヤのガイドローラーは、「19mmプラリング付アルミベアリングローラーセット」です。 径が19mmのガイドローラー中、最軽量なので、ミニ四駆のスピードを追求するなら、これがベストです。 ジャパンカップに入賞しているミニ四駆も、ほぼこのパーツを使用しています。
反面、耐久性が低いので、コースアウト時に破損してしまうこともあります。 高価なグレードアップパーツなので、メインのミニ四駆に絞って取り付けるのが、無難でしょう。
ビスは、キャップスクリュー(30mm)を使っています。 このパーツは、「15454:2mm キャップスクリューセット(25mm・30mm)」や「AO-1022 2x30mm ミニ四駆キャップスクリューセット」に入っています。
キャップスクリューは高価ですが、固いので、FRPプレート等で補強しなくても、簡単には曲がりません。 安価なビスを使って、曲がるたびに交換するよりも、トータルで考えれば安く済むと感じます。
改造その2:ボディをクリヤーボディに変更してみた
真っ赤なノーマルボディを、「エアロ アバンテ クリヤーボディセット」に変更しました。 クリヤーボディは、ポリカーボネート製の高性能パーツです。 軽いので、重心が下がって安定性が上がり、スピードアップもアップします。
両方の重さを量ってみると、その差は歴然です(ノーマルは11.5g、クリヤーは6.8g)。 黄色部分の塗装は、「タミヤミニ四駆PROマーカー《イエロー》」を使用(裏側から塗っています)。
余談ですが、以前はフルカウルミニ四駆のクリヤーボディが発売されていたようです。
もともと重いボディほど、クリヤーボディによる軽量化も大きくなります。 クリヤーボディの種類がもっと増えると、嬉しいですよね。 バンガードソニックとか。
改造その3:ホイールにシャフトを貫通させてみた
以前の記事「バンガードソニック(スーパーIIシャーシ)の改造に挑戦してみたよ!」でも紹介しましたが、今回もピンバイス(ドリル)でホイールに穴をあけて、シャフトを貫通させました。 ホイールシャフトは、「72mmブラック強化シャフト(4本)」を使用しています。
こうすると、ホイールのブレがほとんど無くなるので、ミニ四駆のスピードアップと安定性アップが期待できます。
車輪は、キット付属のタイヤとホイール(中径ホイール+スーパーハードローハイトタイヤ)を、そのまま使用しています。
中径ホイールとスーパーハードローハイトタイヤの組み合わせは、最高クラス(パーツ加工無しの中では最高)の安定性を誇ります。 グリップ力が低いのでスタート直後は遅いですが、一度スピードが乗ってしまえば、コーナーでも減速することなくスムーズに走り続けます。 あまりブレーキをかけずに走るスタイルが、向いています。
なお、ホイールにシャフトを貫通させる際は、ハンマーでシャフトを打ち込みます。 通常のハンマーでも良いのですが、「マイクロハンマー(交換ヘッド4タイプ付き)」があると作業しやすいです。
改造その4:ブレーキを取り付けてテープを貼ってみた
これも、バンガードソニック(スーパーIIシャーシ)と同様、ブレーキスポンジに「ミニ四駆マルチテープ(10mm幅 ブルー)」を貼り付けました。 スポンジ全体を覆うので、ワンタッチでブレーキの有効・無効を切り替えることができます。
ブレーキを効かせなくて済むなら、それに越したことはないので、コースを走らせる際、最初はブレーキを無効にするのがお勧めです。
なお、スポンジ部分を隠しても、ブレーキを取り付ける意味はあります。 ジャンプ時の姿勢が安定しますし、ガイドローラーの下を隠すように取り付ければ、コースの壁に乗り上げることも無くなるからです。
改造その5:軸受けを620ボールベアリングに変更してみた
ホイールシャフトの軸受けを、「AO-1011 620ボールベアリング2個セット」に変更しました。 620ボールベアリングは、軸受けのグレードアップパーツの中で、1番性能が高いです。 2個セットなので、ミニ四駆1台分を揃えるには、2つ買う必要があります。
このパーツは単にスピードが上がるだけでなく、「丸穴ボールベアリング4個セット」や「六角穴ボールベアリング4個セット」よりも軸のブレが減るので、安定性も増すんですね。 高価なパーツですが、値段に見合った性能があるので、メインのミニ四駆には、ぜひ取り付けましょう!
なお、ホイールとの摩擦を減らすため、ベアリングローラー用スペーサーを間に挟んでいます。 ベアリングローラー用スペーサーは、各種ガイドローラーに入っている他、「AO-1018 ベアリングローラー用スペーサー(20個)」があります。
この方法は、「世界最小モータースポーツ最速改造理論」を参考にしました。 余談ですが、この書籍は新しい改造を始めたい時、ひらめきが得られるネタが満載です。 製品パーツカタログ – ⑩書籍で紹介しているので、興味を持たれた方はチェックしてみてください。
改造その6:ターミナルをゴールドターミナルに変更してみた
キット付属のターミナルを、「スーパーXシャーシ・ゴールドターミナル」に変更しました。 このターミナルは、ARシャーシやVSシャーシにも使うことができます。
キット付属のターミナルは銅製なので、酸化(空気中の酸素と融合)しやすく、すぐに性能が下がってしまいます。 ゴールドターミナルは金メッキのおかげで、性能が劣化しにくく、ミニ四駆のスピードもアップします。
> ターミナルの性能については、「【検証】ターミナル(電池金具)」を参照。
このパーツも、メインのミニ四駆には、ぜひ取り付けましょう!
改造その7:プロペラシャフトを中空タイプに変更してみた
キット付属のプロペラシャフトを、「1.4mm中空軽量プロペラシャフト」に変更しました。
中空シャフトは、ストローのような空洞になっているシャフトです。 キット付属のプロペラシャフトに比べて軽いので、ミニ四駆のスピードがアップします。
なお、ギヤは何かの拍子で破損することがあるので、予備を持っておくと、安全安心ですよ☆
改造その8:ギヤシャフトをフッ素コートに変更してみた
キット付属のギヤシャフトを、「フッソコートギヤシャフト(ツバ付2本)」に変更しました。 キット付属のギヤシャフトに比べて摩擦が少ないので、ミニ四駆のスピードがアップします。
まとめ
今回の改造をまとめると、次のようになります。
- ①FRPプレートとピロボールを取り付けた ※安定性アップ↑
- ②ボディをクリヤーボディに変更した ※スピードアップ↑、安定性アップ↑
- ③ホイールにシャフトを貫通させた ※ 〃
- ④ブレーキを取り付けてテープを貼った ※安定性アップ↑、メンテナンス性アップ↑
- ⑤軸受けを620ボールベアリングに変更した ※スピードアップ↑
- ⑥ターミナルをゴールドターミナルに変更した ※ 〃
- ⑦プロペラシャフトを中空タイプに変更した ※ 〃
- ⑧ギヤシャフトをフッ素コートに変更した ※ 〃
重量は、電池無しで103.9gです。 前回のバンガードソニック(122.2g)と比べると、段違いの軽さです。
このミニ四駆で、東京新橋にあるタミヤプラモデルファクトリーのコース(下の写真)を走らせてみました。 ハイパーダッシュ2モーターで走らせても、コースアウトすることなく爆走してくれました。
地元のミニ四駆ステーション大会(50、60人規模の店舗レース)に出走させたところ、いきなり準決勝まで進むことができました(厳密に言うと、2ヒート制トーナメント戦での、第1ヒートの決勝戦)。 この時のコースは、いたるところに芝セクションがあって、他のミニ四駆(VSシャーシやスーパーIIシャーシなど)が減速する中、こちらは減速しないで走り抜けてくれました。
ARシャーシは底(電池カバー)がスベスベなので、芝セクションでも減速しないんですね(ブレーキの地上高が、かなり低い場合は別)。 ですので、スーパーハードローハイトタイヤとの相性は、抜群です。 すでにお気づきの方も多いと思いますが、今回の改造はホイールに穴をあけた以外、パーツ加工は一切していません。 ARシャーシの高性能ぶりを、改めて実感しました。
先日、ジャパンカップ東京大会(10/27、MEGA WEB)に参加した際、その場で知り合ったジュニアクラスのレーサーと、お互いのミニ四駆を見せっこしたところ、今回の改造とほぼ同じセッティングでした。 とても嬉しそうな表情で、2次予選のチケットを見せてくれました。
ARシャーシは、基本性能がとても高いシャーシです。 ミニ四駆を始めたばかりの人でも、経験者と対等に競うことができるように、タミヤが開発したシャーシです(今年発売されたMAシャーシも同じ)。 MAシャーシと比較した場合、スピードはMAが上ですが、安定性ではARが上です。
注意点は、スイッチを最後まで入れてから走らせるよう、意識する必要があることです。 他のシャーシと違って、スイッチが途中でも車輪が回転し始めるせいか、そのまま走らせてすぐに止まってしまうアクシデントを、大会ではよく見かけます。
ARシャーシは、クリヤーボディに加えて「AR強化シャーシ(ホワイト)」も発売されたので、優位性が上がっています。 今までARシャーシを使ったことが無い方は、ぜひ制作してみてください! そして、その驚くべき性能を、体験してほしいと思います。
以上、エアロアバンテ レッドスペシャル(ARシャーシ)の改造でした(^-^)